中学受験の合格発表で合否を確認する瞬間は、ご家族にとって何とも言えない緊張感と期待に包まれます。合格だった時は喜びや安堵感はひとしおですが、残念ながら不合格の場合は、その結果を受け止めなければなりません。
ところが、実は「不合格」でもまだ「合格」可能性があることをご存知でしょうか?
そう、それが「繰り上げ合格」の存在です。
しかし、この「繰り上げ合格」のことを詳しく知っている人がほとんどいないのが現状です。
実は、「繰り上げ合格」はほとんどの学校で行われており、皆さんのお子さんにも「繰り上げ合格」をする可能性は十分にあります。
にもかかわらず、「繰り上げ合格」をしたのにもかかわらず、進学先の選択や子どもの心のケアに悩むご家庭が少なくありません。
今回は、我が家が実際に経験した「繰り上げ合格」を通して、その詳細を余すことなくお伝えします。
「繰り上げ合格」とは
中学受験において、合格者数は、複数の学校に合格した受験生が入学を辞退することなどを考慮して、定員よりも多い人数で設定されます。辞退者が予想以上に多い場合には、「繰り上げ合格」が行われます。
ちなみに、「繰り上げ合格」の連絡が来る可能性が高い機会は次の2回になります。
1回目(2月4日〜2月10日)/入学手続き(入学金支払い)終了後
2月1日に受験が始まる東京・神奈川の多くの学校では、合格発表の翌日、翌々日までには入学手続きが締め切られます。この時、入学定員に達していない場合、各校は追加の合格(繰り上げ合格)の手配を開始します。
特に「繰り上げ合格」全体に影響を与える要因は、難関校における「合格辞退者」の人数です。難関校の受験者は複数の難関校の合格をしていることがあるため、他の合格した難関校への入学を辞退した場合、連鎖的に他の学校も「繰り上げ合格」の流れが加速していきます。
2回目(2月11日以降)/招集日(入試説明会)の「2月11日」以降
多くの学校では、合格した場合、招集日(入試説明会)が2月11日に設定されています。この召集日に参加しなかった場合、入学を辞退することになります。辞退者が発生し、募集人数が不足する場合には、「繰り上げ合格」が実施されます。
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「繰り上げ合格」候補者の選考について
選考基準
繰り上げ合格候補者は、原則として試験結果の点数順に選考されます。多くの場合、合格最低点に1〜2点届かなかった受験者が対象となるため、1点でも多く点数を獲得することが重要です。
点数が同点の場合
点数が同点の場合は、特定の教科の点数が高い人から優先されることがあるなど学校によって基準が異なります。いずれにしても合格最低点にかけ離れていると合格の可能性が低くなるため、部分点を取れる問題などでしっかりと点数を獲得するなど合格に対して諦めない気持ちで受験するようにお子さんに伝えてください。
自己採点で合格最低点にわずかに達していない場合は、「繰り上げ合格」の連絡が来る可能性があります。
繰り上げ合格の連絡について
連絡方法
「繰り上げ合格の連絡」は、多くの場合電話で行われます(一部の学校は郵便で行われるようです)。2月の期間は、着信があった場合はすぐに応答できるように準備しておきましょう。
どこに連絡が来るのか?
「繰り上げ合格」の連絡は、受験を出願した際に登録した電話番号宛に掛かってきますので、もし、自宅の固定電話を連絡先に登録した場合は、家族に「繰り上げ合格」の連絡があることを共有しておきましょう。
返事の猶予の時間
我が家の場合、返事をする猶予の時間は1時間でした。この与えられた時間で、むすこの将来を決めなくてはいけなかったので、選択に苦心しました。
ネットなどの情報によると学校によっては、翌日まで検討できるところもあるようです。
繰り上げ合格のこころがまえ
連絡は突然やってくる
「繰り上げ合格」の連絡は、いつ届くかは予測がつきません。合格発表後数日後や入学説明会後、学校によって異なります。遅い場合には3週間後に連絡が来ることがあります。
この時期は、携帯電話を自宅でも常に持ち歩き、着信に備えておくことをお勧めします。
「繰り上げ合格」の連絡が来たらどうするのか決めておく
志望校が「不合格」であったという辛い現実からなんとか気持ちを切り替えて、他の「合格」をした学校への進学準備や気持ちの切り替えを進めた後に「繰り上げ合格」の連絡が来ると、子供は混乱してしまう可能性があります。事前に家族で相談し、連絡が来た場合の対応を決めておくことが重要です。
事前に話し合うべき内容
- 繰り上げ合格を希望するかどうか
- 希望する場合は、どの学校までなら入学を検討するか
- お子様の気持ちを尊重し、じっくり話し合う
- 様々な状況を想定し、具体的な対応を決めておく
「繰り上げ合格」情報サイト「くりあげくん」をチェックする
各学校の繰り上げの状況が分かる「くりあげくん」サイトがあります。日々の「繰り上げ合格」の推移や毎年の各学校の「繰り上げ合格」の動向が確認できます。
*我が家の「繰り上げ合格」も反映されていました。
自己採点などで可能性が考えられる場合、この「くりあげくん」のサイトを 参考にしてみてください。
我が家の「繰り上げ合格」の体験
受験の結果
- 1月10日 埼玉(前受け受験)→合格
- 2月1日a.m.(第1志望:難関校)→不合格
- 2月1日p.m.(第4志望:上位校) →合格
- 2月2日 (第3志望:難関校)→不合格
- 2月3日(第3志望:難関校)→不合格
残念ながら、第1志望校、第2志望校、第3志望校が不合格でしたが、今回受験した学校は全て子ども本人はどの学校も進学希望だったため、急遽、追加で受験する学校の必要もなく、子どもの2月3日で受験を終了し、合格した第4志望校に進学の決意を固める。
第1志望校から「繰り上げ合格」連絡がくる
2月11日に第4志望校の招集日(入学説明会)に参加した後に、見知らぬ番号から妻の携帯電話に着信があり出たところ、なんと第1志望校から「繰り上げ合格」の連絡があったのです。
ところが、子供は「繰り上げ合格」したことを喜ぶかと思いきや、複雑な表情をしていました。というのもさっきまで進学を決意した第4志望入試説明会に参加して、部活はどこに入部しようかななど進学する学校への夢を膨らませた時に、突然、第1志望校ではあるものの、気持ちの整理がつかず混乱してしまったようなのです。
むすこは、混乱はしたものの、家族の話し合いと日能研の先生に相談した結果、第1志望校に進学することを選択しました。
「繰り上げ合格」の存在は認識していたものの、実際に我が家に連絡がくると思っていなかったため、真剣に「繰り上げ合格」の連絡がきた時の準備をしていませんでした。親の私たち夫婦も子ども同様に混乱をしてしてしまったことを反省しています。
ちなみに翌日は、むすこは昨日の混乱がうそのようにケロッとして、第1志望校の「合格」を喜んでしました。
まとめ
「繰り上げ合格」は、決して特別な受験生だけが経験するものではありません。どんな受験生にも可能性があり、実際に多くの受験者が経験しています。
我が家も、息子が「繰り上げ合格」を体験しました。第1志望校の「繰り上げ合格」の連絡を受け、入学することができました。
ただし、「繰り上げ合格」の連絡は、入学準備が進む時期に来る場合もあり、タイミングが合わないケースも少なくありません。
息子も「繰り上げ合格」の連絡を受けたのは、入学説明会が終わった後でした。すでに進学する学校を決めて準備を進めていたため、非常に悩みました。しかし、息子は最終的に「繰り上げ合格」を受け入れることを決断し入学することにしました。
「繰り上げ合格」は、受験において、最後にある希望です。可能性は低いと捉えながらも、情報収集を怠らず、準備しておくことが大切です。
「繰り上げ合格」について知っておくことで、万が一連絡が来た場合にも慌てずに対応することができます。
お子さんが笑顔で受験を終えるために、ご家族で「繰り上げ合格」について話し合っておくことをお勧めします。